こんにちは、食品業界人ゆみきーちですヾ(´ω`=´ω`)ノ
スーパーに並ぶ商品はどうやって決められているの?あのスーパーにあって、このスーパーに無い理由は?(・∀・)今回は日本のスーパーに並ぶ商品がどのように決められているのか、業界人が簡単に解説します。
これを読み終わるころには、何を基準にスーパーが導入商品を決めているのか?スーパーに商品が陳列されるまでの仕組みが分かります。食品流通について興味がある方、就職・転職先として食品業界を検討されている方には、是非知ってもらいたい情報です。
はじめに、食品業界内のパワーバランスについて
通常食品は、メーカー⇒ 問屋 (⇒*二次問屋)⇒スーパーの順番で商品が流通されます。
この食品業界において、最も強い力を持つのは上記のうち、一体どこでしょうか?
実は、最も大きな権力を持つのは、食品スーパーや量販店などの小売り業の方々です。
「一番権力を持っていてカッコイイ(☆)のは、商品を製造しているメーカなのでは?」「いやいや、食品問屋は大手企業だからめちゃくちゃ強いでしょう!」と思う方も多いはず。
いえいえ、分かりやすく言うと、こんなイメージでしょうか。
王様: スーパーや量販店などの小売り業
お付きの者: 食品卸問屋 平民: メーカー |
なぜかというと、メーカーはたとえ商品を作っても、誰かが売ってくれなくては売り上げは伸ばせません。仲介する問屋はスーパーなどの小売店様から選ばれなくては、問屋としての仕事が無くなってしまいます。
だからこそ、実店舗を構えて、商品を直に消費者へ販売してくれている、実績のある食品スーパー様が一番偉いのです。大きな店舗を構えて安定的に経営を続ける事はとても大変なこと。
もちろん「そうは問屋が卸さない」という言葉があるように、実力の無いスーパーや量販店などの小売り店、つまり販売実績がほとんどない、または支払いが滞る、にもかかわらず変な文句ばかりつけてくるなど、そんな小売店は問屋さんに嫌われてしまうので、商品を卸してもらえないこともしばしばあります。
しかし、通常の実績あるスーパー様に対しては、問屋もメーカーもスーパー様へ”お願いの商談にあがる”というのが通常です。
メーカーも、たとえば希少なものを売っていたり、かなりのヒット商品を作ると、立場が全く逆転する事もあります。とはいえ、基本的には良い商品で売れていても”値切り”をお願いされますし、欠品してしまうと、問屋にもスーパーにも迷惑をかけるので、結局メーカーは誤りを入れることになります。
これから食品業界に入る方はおそらく、この事実を知らないので、あこがれだけでメーカーや食品問屋に入ると、この構造に驚かれるかもしれません。
あらかじめ知っておくとよいと思います( ´∀`)つ
(*二次問屋とは、問屋が卸している先の問屋のことで、2次問屋を介して小売店に卸される場合もあります。)
スーパーの定番棚の陳列は誰が決めていますか?
定番棚とは、各商品カテゴリーが常時陳列されている棚の事を指しますが、その内容を決めるのが、スーパーのバイヤーという、商品の購買担当の方になります。MD(マーチャンダイザー)とも言います。
先にスーパーや量販店などの小売り業は業界の王様であると述べましたが、メーカーや問屋にとって、商品導入の有無を決めるバイヤーは、スーパーの中でも最も偉い人に当たります。
バイヤーは、たとえば生鮮、菓子、調味料など、商品のカテゴリーごとに担当者が複数に別れています。いくつものカテゴリーを兼任されているケースもありますが、いずれにせよ、たとえ沢山の店舗を持っている大型チェーンのスーパーであるとしても、たった1人で全店舗分のカテゴリーの責任を負っていることがほとんどです。(稀に店舗ごとにバイヤー担当がいるスーパーもありますが。)
ともあれ、スーパーのバイヤーは導入商品に絶対の決定権があり、お店の売り上げに対してとても大きな責任を負っているのです。
どれくらいの頻度で定番棚は内容変更されていますか?
年に2回、春夏と秋冬に大きく変更されます。
次の季節に向けた変更になりますが、売れている商品と、売れていない商品を見直す機会となります。この際は主に、棚から外すもの、棚に新しく導入するもの、そしてそれらの配置を決めます。
この変更をするにあたり、3か月以上前から、食品卸問屋を挟んで、メーカーの営業がスーパーのバイヤーに向けて商談をします。これを春夏商談、秋冬商談と言います。(スーパーによっては、春夏・秋冬と2回に分けずに、月間でメーカーと商談しながら、毎月ちょこちょこ商品を変えているところもあります。)
また、メディア影響からのおすすめ品や季節ものの特売品、利益につながりそうなユニーク商品については、年2回の商談の他に、月間で紹介依頼が問屋さんを介してメーカーに届きます。
いちばん気になる!何を基準に導入商品は決められますか?
前記した通り、春夏商談や秋冬商談では、各メーカーが食品卸問屋を挟んで、提案先であるスーパーのバイヤーに対し、新商品またはそのスーパーへおすすめしたい商品をプレゼンします。
その際、メーカーは試食または試飲を準備し、商品の良さや使い方をアピールします。
たとえばターゲット層はどこか、どのように消費者ニーズにマッチしているか、価格設定の根拠、提案先のスーパーに合う理由などをバイヤーに伝えます。
それを受けて、バイヤーがスーパーの新規導入商品として商品を選ぶ基準は以下が挙げられます。
・スーパーを運営する企業が大切にしている理念や、商品の揃え方に合っているか そもそも企業戦略的にターゲットにしている層にマッチする商品か ・各スーパーが持つ個性により、集まる客層を意識した商品か 土地柄、そこに住む人の思考や価値観、平均所得金額など ・実際に美味しいか、リピート率が高いと思えるか ・十分に商品をアピールできるだけのパッケージデザインか ・時代に合っているか、これから売れそうか 例えば話題性があるかどうか、インスタ映えするか ・バイヤーの好み バイヤーの友人が美味しいと言っていた、個人的に好きなどの理由 ・メーカーがどれだけ商品の販促費用をかけてくれるか、どれくらいのキックバックをスーパー側に支払えるか ・POSデータ(実際に購入された商品の購入データ)を基にした統計データ どのような商品が売れているかを参考 |
これで決まる!棚割商談とは?
春夏商談や秋冬商談が終わり、スーパーのバイヤーがあらかじめ導入商品を決めると、次のステップとして行われるのが、棚割商談といい、実際にどのように商品を棚に陳列するかを決める商談(会議のようなもの)が行われます。
棚割商談の参加者は、バイヤーと食品卸問屋、そして各商品カテゴリーにおいて、そのスーパーにとって最も有力なメーカーの担当をカテゴリーリーダーという名の参考人として招きます。全員合わせても、だいたい3~4人で、カテゴリーごとに行われます。
基本的に棚割はバイヤーの考えで決定されますので、問屋とメーカーはあくまで参考として助言をするかたちとなります。このプロセスでは、棚決め用のソフトウェア(いくつか種類がありますが、『棚パワー』など)を使用しながら、話し合いにより進められ、最終的に棚の位置が確定されます。
まとめと考察
スーパーでは、年に2回の春夏商談と秋冬商談で大きく棚替えをする為の商談が行われ⇒棚割商談⇒決定、という流れになります。
これにより、新規導入商品が決まり、売れていない商品が外れて、売れている商品が残されることになり、総合的に”消費者にとって良い商品”が並んでいくことになります。このように、スーパー側は消費者の要求を鏡に映すように、売れる商品を棚に陳列するよう努力しています。
とはいえ、”消費者にとって良い” 売れている商品は、必ずしも健康的で身体に良いと思われるものばかりではありません。
売れている理由が、企業のマーケティング力やブランディング力だったり、原料コストを抑えて低価格で売っていたり、添加物を加えて長持ちするものを“おいしく”作っていたり。
食品を買う際の人の価値観は人それぞれ。消費者が本当に価値のある商品を選ぶ目を持つことができれば、おのずと”本当の意味で良い商品”ばかりが陳列棚に並ぶようになるでしょう。
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